スナップ写真考（街で写真を撮ることの難しさ）

　私はこのホームページでは、花の写真とか風景の写真ばかりをアップしているが、本当に好きなのはスナップ写真じゃないかと思っている。

　スナップ写真などと一口にいっても、その定義はなかなかに難しい。
　少なくとも単なる風景写真じゃないし、記念写真でもなければポートレート写真でもない。ましてや報道写真であるわけがない。

　まあここでは、スナップ写真とは「街中などで、自分の目についたものを、ちょちょっと気楽に写す写真のこと」とでもしておきましょうか。

　ってことになると、どうしてもそこに人間・・・それも自分とは関係のない赤の他人が入り込んでくる可能性がある。

　それが観光地などで、友達どうしで写真を撮り合っていたら、たまたま背景に他人が入ってしまった、などということはよくあることで、これはまあ問題ないでしょう。

　しかし観光地でもない街中で、しかもカメラマン（私）が一人でカメラを構えていて、そこに他人が入り込むと面倒なことになることがある。

　難しい話になってしまうが、人は誰でも「肖像権」というのを持っている。これは、「本人の意志に反して撮影されたり撮影された写真等を公表することを拒否する権利」のことだ。それを無視して勝手に撮影したり雑誌などに公表すると「肖像権の侵害」ということになって、訴えられても仕方ないことになるのだ。

　別にこっちがある特定の個人を狙って写していたんじゃなかったとしても、向うがそう感じればやはりトラブルになる可能性がある。

　以前私はこんな経験をした。

　ある日、横浜駅西口近くのビルの前に私は立っていた。肩には一眼レフカメラを提げていたが、誰かにレンズを向けていたわけではない。
　そばに絵になる大きな広告があったから、それと人物をからめて写そうと思ってチャンスをうかがっていたのだ（飽くまで主役は大きな広告であり、人間は脇役って感じですね）。

　そしたら、ゴギャル風の子が小走りに近づいてきたかと思ったら、カメラを肩に提げている私の正面に立ち、
「や〜い。パンツ撮ろうとしている！捕まるぞ〜っ！」
といきなり言ったのだ！
　彼女はそれだけ言うと、またすぐ小走りに「たったった」って感じで立ち去っていった。

　今から思うと随分変な子だけれど、要するにその子は、街角で一人でカメラを提げている私を見て、「パンチラ写真狙いの犯罪者」だと思ったってことですね。
　何も写してなくてもこれですからねえ。

　またその日だったか別な日だったか、同じように肩から一眼レフカメラを提げて歩いていたら、いきなり前を歩いていた女学生のうち1人が振り返り、私をキッとした顔で睨みつけた。
　その女学生も同じでしょう。私のことを「パンチラ写真狙いの犯罪者」だと思ったんでしょう。

「まったくもう、これじゃうっかり街も歩けないないかあ！オレが何をしたっていうんだ！」

と叫びたくなるが、確かにおっさんが一人で、ごつい一眼レフに、これまたややごついズームレンズをつけたのを肩から提げて歩いていれば、もうそれだけで怪しくなってしまうのかもしれない（場所を海水浴場に変えてみると分かりやすいと思う）。

　事実（元）タレントの田代○○○だけでなく、その手の写真を撮る輩（やから）がいるのは事実。またその手の写真やビデオがインターネットなどで売買されているのも事実なのだ。

　というわけで、今の時代、なかなか自分が望むような街角スナップ写真を撮るのが難しくなっている。悪意や下心がなくても犯罪者にさせられてしまう可能性があるからだ。特に男性はね（この点では女性のカメラマンがうらやましい）。

　そんなわけで、まあ花や自然を写している方が無難なのは確かですね。「花に訴えられた」という話はまだ聞かないから（笑）。

　ただ、マナーを守った上で、そして相手とのコミュニケーションを取った上で、絵になるスナップ写真を写してみたいな、と思っている今日この頃です。