デジカメは適所適材

　デジカメにはざっと考えると2つのタイプがあるんじゃないかと思っている。「普段着のデジカメ」と「よそいきのデジカメ」だ。

　普段着のデジカメ ＝ 小型コンパクトデジカメだ。ポケットに入れて何処にでも持っていけて気楽に使える。ポケットに入れるなんて、一眼レフカメラには絶対に真似のできない芸当だ。

　おそらく普通の人はこのコンパクトデジカメがあるだけで、ほとんど用が足りてしまうだろう。なんたってケータイのカメラ機能で満足している人も多いのだから。

　しかしAF性能など、どこかピリリとしない一面があるのも事実。ジャージ姿やパジャマ姿で身を引き締めろといっても無理があるのと似ている気もする。

　よそいきのデジカメ ＝ デジタル一眼レフカメラだ。いわばブランドもののスーツのようなもの。性能的はデジカメの中で最高峰。見た目も格好いいし、人々から羨望のまなざしで見られることもある。

　しかし近所を散歩するときに持ち運ぶには不向きだ。ハイキングなどのときもこれは同じ。大きく重たくて邪魔になる。
　大き過ぎて構えると人に威圧感を与えるのも問題だ。

　そしてその中間に当たるのが、高級コンパクトデジカメと呼ばれるジャンル。私が今愛用しているコニカミノルタのDiMAGE A1などが該当し、正装でもないし普段着でもないが、無理をすればその両方に使えるデジカメだ。

　しかしデジタル一眼レフカメラのように人々から羨望のまなざしで見られることはないし、逆に小型コンパクトデジカメのようにポケットに入れることもできない。ある意味どっちつかずといえなくもないデジカメだ。
　私もじつは買う前にそのことを心配した。「結局中途半端で使わなくなるのでは」と。

　だからある人にとってはまったく意味のないデジカメかもしれない。実際最近小型コンパクトデジカメの性能の追い上げと、デジタル一眼レフカメラの価格の低下によって苦しい立場にある。

　しかし去年私はデジタル一眼レフカメラでざっと1,500枚ほどの写真しか写さなかったのに対し、高級コンパクトデジカメに当たるA1では7,000枚ほど写している。圧倒的にA1の方が多い。

　何故か。去年私は随分日帰りの旅をした。その際のお供としていつもA1を連れていったからだ。
　気楽な旅カメラとしてはデジタル一眼レフでは重過ぎ、逆に小型コンパクトデジカメでは性能的に物足りない。A1はその点ぴったりだったのだ。

　このようにデジカメには本当に「適所適材」という言葉がとてもよく似合う。自分に合うデジカメと出会うと、撮影枚数がここまで飛躍的にアップするのだから。

　人のアドバイスは案外当てにならないこともある。例えばその人が高級コンパクトデジカメに価値を見出してない人だとすると、絶対にA1など薦めない。逆に私がいくらA1を薦めても、あなたにはまったく合わない場合もある（現時点なら私も、むしろ高級コンパクトデジカメよりも安く買えるかもしれないデジタル一眼レフの入門機を多分薦める）。

　そう。百人の人に意見を聞けば百の意見が返ってくる。人からアドバイスを受けたとしてもそれは百分の一でしか過ぎない。結局最後は自分で判断するしかないのだ。

　あなたも自分にとって理想のカメラを「自分で」見つけてみてください。