健康体を手に入れる秘訣

　私は去年、アンドルー・ワイル教授の書いた「癒す心、治る力」という本を読んだ。

　10年ほど前に世界的なベストセラーになったらしいのだが、全然私は知らなかった。たまたま何故かアトピーに悩む人のブログで知り、そのままネット上から注文したのだ（ちなみに私はアトピーじゃないけれど）。

　本編だけで400ページを超す本で、故に文庫本のくせに800円もする。
　ネットで注文したからページ数が分からなかった私は、宅配便で届いたその本を見て「こんなに分厚い本読めるかなあ。最近集中力ないからなあ」と心配していた。


　ところが結果的には一気に読んでしまった。

　内容が濃いだけに、「どんな本なのか」を手短に説明するのは大変難しいが、ワイル教授が一番言いたいことはこういうことだ。

　現在主流の西洋医学は対処療法である。対処療法とは「悪いところが出たら、それに対して薬や治療で対処する」というものだ。
　例えば吹き出物ができた患者に軟膏を塗る、胃腸の調子が悪い患者に胃薬を処方する、あるいは胃潰瘍になった患者の胃を切除する、ということがそれに当たる。

　ところがワイル教授は、そういう病気にならない体を作ることがまず第一として、病気になった場合にもそれを「治療」で治すのではなく「治癒」で治そうとしている。

　そういえば昔の歯医者って「虫歯になったら行く」という存在だったけれど、最近は「予防歯科」という概念ができてきて、「虫歯にならない歯を作るのが歯医者の仕事」みたいになってきているでしょう？

　要はそれと同じだ。ワイル教授は「病気にならない体を作ろう」と提案している。言葉を変えればそれは「自然治癒力を高めよう」ってことになる。

　癌（がん）に例をとると、人の体の細胞は常に悪性に変化しようとしているものらしい。ところがそれを免疫系（治癒系）が抑えているから癌にならない。
　ところがその治癒系が弱っていると・・・当然癌になりますよね。

　癌にならないためにはどうしたらいいか。
　簡単なこと。自然治癒力を高めることをすればいい（正しい食事とか運動とか）。逆に自然治癒力を弱めることはしなければいい（喫煙とか）。

　今年に入って今度は新谷弘美先生の、「病気にならない生き方」という本を読んだ。かなりのベストセラーになった本だから、知っている人も多いんじゃないかと思う。

　新谷先生は内視鏡の世界的権威で、今まで何と30万例以上の胃腸を検査してきたという。そこから新谷先生ならではの哲学が生まれた。
　先生が好んで使う単語が「胃相・腸相」というもの。要するに手相や人相に引っかけたもので、胃腸にも相があるということだ。

　先生のことを知ったのは日本テレビの「世界一受けたい授業」。
　実際に健康な人の胃腸とそうでない人の胃腸がそのとき放映された。ああやって映像で見せ付けられるとすごいインパクトがある。不健康な人の胃腸は、はっきりいって「汚い」のだ。

　では、どうすればいい胃相・腸相を持つようになれるのか・・・。

　これがこれが驚くほどアンドルー・ワイル教授の書いた「癒す心、治る力」の中に書いてあることと一致している。
　要するに、自然治癒力を高める生活習慣と、胃相・腸相をよくする生活習慣とは実はまったく同じことなのだ。

　具体的にはこんなところです。

• 動物食ではなく、植物食中心の食生活をする。植物食とは、野菜はもちろん、米・パンなどの穀物類や大豆などだ（日本人の大腸癌患者は戦後60年でおよそ10倍になっている。これは肉料理が多くなるなど食生活が欧米化していることによる←新谷先生）
• 野菜は有機農法で作られた無農薬野菜にする
• 動物食は肉ではなく魚（DHA,EPAが多く含まれた青魚がベスト）中心にする
• 水道水ではなく、汚染されていないミネラルウォーターを多く摂取する
• 牛乳などの乳製品はあまり摂らない（乳製品はアレルギーの原因になることが多い←ワイル教授。ヨーグルトはむしろ腸相を悪くする←新谷先生）
• 油ものはあまり食べない（目安としては、揚げ物はせいぜいに月に1度ぐらい←新谷先生）
• タバコを吸わない
• アルコールはたしなむ程度にする
• 早寝早起きをする（睡眠をたっぷりと取る）
• 夕食後は飲食をやめる（寝るときに胃を空っぽにして寝る）
• 適度な運動をする（ウォーキングに勝る運動はない←ワイル教授）
• あらゆる薬は基本的に毒だから飲まない（サプリメントは別）
• 深呼吸をする（呼吸に関してはワイル教授の方がずっと多くのページを裂いている）
• ネガティブな生き方（考え方）をしない（精神が肉体に与える影響は思っている以上に大きい）

　そう。ほとんどが当たり前のことばかりなんですよ。あとは「蓄積」ですね。いいことも、悪いことも。

　例えば無農薬野菜を食べるようになったからといって、たちどころに健康になるわけではない。それはタバコを吸うからといってたちどころに癌になるわけではないのと同じだ。共に「蓄積」なのだ。

　さて、あなたはいい方の蓄積をしますか、悪い方の蓄積をしますか。それは今すぐには出なくても、来年、あるいは5年後、あるいは10年後、「必ず」出てきます、体に。

　ちなみに新谷弘美先生は19歳のときにインフルエンザにかかったのを最後に、驚くべきことに成人してから一度も病気になったことがないという！

　私も北鎌倉のお寺の奥さんで、子供のとき以来風邪を引いたことがないという人を実際に知っています。
　私が「風邪を引いた」と言ったらその奥さん、びっくりしていました。

「え？だって風邪って子供がかかる病気でしょう？」

　あなたも自然治癒力を高る生活習慣、胃相・腸相をよくする生活習慣を身につけ、そんな体を手に入れてください。